Claudeの使い方 — 「聞く」と「任せる」を分けて覚える
堀田昂佑(NarAI 開発・執筆)・公開 2026-07-26
Claudeの使い方を調べると、登録手順と機能一覧はいくらでも出てきます。ただ、実際に詰まるのはその先——「聞く」から「任せる」に切り替えるところです。このページは、その切り替えの地図として置いています。
先に、このページの立場
NarAIはAnthropic公式のサービスではありません。ここで公開しているのは、AIエージェントへの仕事の任せ方を練習するための学習用シミュレーションです。最新の料金・提供プラン・機能の正確な情報は、必ず提供元の公式情報を確認してください。このページが扱うのは、どのAIエージェントにも共通する「考え方」のほうです。
もう一つ先に書いておくと、機能の網羅は目指していません。モデルも機能も数ヶ月で変わるので、網羅した一覧は書いた瞬間から古くなります。代わりに、変わりにくい部分——何を任せられて、何を任せられないかの見分け方——を置きます。
使い方は、大きく二つに分かれる
同じClaudeでも、使い方は性質の違う二つに分かれます。この区別を先に持っておくと、以降の情報がきれいに整理されます。
- 聞く(チャット)— 質問して、答えを受け取る。文章を書く、要約する、調べたことを整理する。人間が最終的に手を動かす前提の使い方です。
- 任せる(エージェント)— 目的を伝えて、手を動かすところまでやってもらう。資料を作る、複数のファイルを横断して直す、外部のサービスに接続して情報を取ってくる。人間の役割は、指示と承認と検証に移ります。
ほとんどの人は「聞く」から入り、そのままの感覚で「任せる」を使おうとして、うまくいかない、で止まります。頼み方が同じだからです。聞くときの頼み方は答えの形を細かく指定するのが有効ですが、任せるときは、やり方まで指定すると、かえって窮屈になる。ここが最初の分岐点です。
「任せる」がうまくいかないとき、何が起きているか
つまずき方には、繰り返し出てくる型がいくつかあります。どれも操作の問題ではなく、任せ方の設計の問題です。
- やり方(How)を細かく指定しすぎて、目的(What)が伝わっていない。手順を指示すると、その手順の範囲でしか動けなくなります。
- 必要な材料を渡していない。人間なら「あれのことだな」と補える前提が、渡されていなければ存在しないのと同じです。
- 確認せずに最後まで走らせている。途中に承認の地点を置かないと、方向がずれたまま完成品まで進みます。
- 出力をそのまま確定情報として扱っている。検証の工程を挟まないかぎり、もっともらしい誤りは見た目では区別できません。
最後の一点については、なぜ見た目で区別できないのかを別記事で扱っています(下の「考え方から学ぶ」)。
まず15分、触って確かめる
読んで分かることと、動かして分かることは別です。NarAIには、登録もメールアドレスも要らずブラウザだけで動く練習用のデスクトップがあります。本物のClaudeではなくシミュレーションなので、会社の資料を入れる必要も、契約する必要もありません。まずここで、依頼→計画→承認→納品の一往復を通してみるのが、いちばん早い理解の仕方だと考えています。
- はじめに — あなたの環境をセットアップする(約12分)
- Chat とエージェントの違いを体感する(約15分)
- エージェントの画面構成を理解する(約15分)
- 最初のタスクを投げてみる(約20分)
自分の仕事から探す
「何ができるか」を機能から考えると、自分の仕事に接続しません。逆から——自分の職種で毎週発生している面倒な作業から——探すほうが早い。営業からくらしまで、12カテゴリ36件のレシピを、手順とそのまま使えるプロンプト付きで公開しています。
営業
- 競合バトルカードを商談前に仕上げる — 「あのライバル、うちの何が刺さらなかったんだっけ」を毎回調べ直さない
- 商談メモから提案書ドラフトを起こす — 議事録を書いた直後の記憶が新しいうちに、提案書の骨子まで一気に作る
- 見込み客の一次リサーチメモを作る — アポ前の「この会社、何してるんだっけ」調べを5分で終わらせる
マーケティング
- 顧客インタビューからペルソナを作る — バラバラな顧客インタビューを、「使えるペルソナ」に変える
- 1週間分のSNS投稿文案をまとめて作る — 毎朝の「今日は何を投稿しよう」から解放される
- 展示会・セミナー後のフォローメールを作る — イベント直後の「お礼メール祭り」を、個別感を保ったまま速く終わらせる
経営企画
- 資料の下書きをツール横断でデッキ化する — Googleドキュメントの下書きとフォルダ内の図表を、会議までにデッキへ変える
- 経営会議のアジェンダと想定質問を作る — 「多分こう聞かれる」を会議の前に潰しておく
- 中期計画のたたき台を作る — 白紙の中期計画に、最初の1文字を書く苦しみをなくす
財務・経理
- 融資先の与信メモを財務データから半自動で作る — 決算書とにらめっこする与信メモ作成を、一次ドラフトだけでも肩代わりしてもらう
- 月次経費レポートの異常値をチェックする — 経費精算の「これ、なんか変じゃない?」を目視スクロールから解放する
- 資金繰り予測の下敷きを作る — エクセルとにらめっこする資金繰り表の一次版を、数字を渡すだけで作る
法務・コンプライアンス
- 契約書の論点を整理する — 契約書を頭から読んで論点を拾う作業を、一次整理だけ肩代わりしてもらう
- 社内規程を平易な説明資料にする — 読まれない社内規程を、現場が読む気になる説明資料に変える
- プライバシーポリシーの差分をチェックする — 改定前後のプライバシーポリシーを、目視の見比べから解放する
人事
- 求人票のたたき台を作る — 現場ヒアリングの走り書きを、応募したくなる求人票に変える
- 面接評価メモを構造化する — 面接官バラバラの雑感メモを、比較できる評価シートに変える
- オンボーディング資料を個別化する — 全員同じ分厚い資料を渡すオンボーディングを、その人向けに整える
カスタマーサポート
- 問い合わせ回答のドラフトを自動生成する — 似たような問い合わせへの返信を、ゼロから書かない
- FAQ記事を量産・更新する — 増え続ける同じ質問を、都度サポートが答えずに済む形にする
- 解約理由を分類・要約したレポートを作る — 解約時アンケートの自由記述を、読み込む前に傾向として掴む
プロダクト
- ユーザーインタビューからインサイトを抽出する — 録音を聞き直す時間をかけずに、次の一手のヒントを取り出す
- PRD(要件定義書)のたたき台を作る — 白紙のPRDに向き合う時間を、壁打ちメモから作る作業に変える
- リリースノートを自動作成する — リリース直前の「リリースノート書かなきゃ」を、開発メモから作る
エンジニアリング
- 障害報告を再現手順として整理する — 「うまく再現できない」と言われがちなバグ報告を、追える手順書にする
- 技術ドキュメントの下書きを作る — 「あとで書く」と言われ続けたドキュメントを、実装メモから起こす
- コードレビュー観点のチェックリストを作る — レビュアーによってバラつく指摘の粒度を、チームの共通言語にする
リサーチ
- 企業評価・分析のたたき台を作る — デューデリの下調べを、公開情報の海から一次整理まで持っていく
- ブラウザのチャートとフォルダのデータを横断して分析する — ブラウザで見ている決算グラフと手元のExcelを、行ったり来たりせずに1つの分析にする
- 業界レポートの要点を抽出し比較表を作る — 何本もの業界レポートPDFを、読み比べずに横並びで理解する
事務・オペレーション
- 朝のブリーフィングを自動で受け取る — 出社直後にメールとカレンダーを開いて呆然とする時間をなくす
- 業務手順書をフローチャート化する — 文章だらけの手順書を、見れば分かる図に変える
- 会議前ブリーフィングを自動生成する — 会議直前の「あの資料どこだっけ」を、開始5分前には終わらせておく
個人・くらし
- 週次の準備と優先順位づけをする — 月曜の朝の「今週何からやるんだっけ」を、日曜のうちに片付けておく
- ポートフォリオサイトを作る — 「そろそろポートフォリオサイト作らなきゃ」を、公開できる下書きまで一気に進める
- 手書きレシピをデジタル化する — 祖母のノートに書かれたレシピを、読めるうちにデータに残す
考え方から学ぶ
操作を覚えるだけでは、次にツールが変わったときにまた振り出しに戻ります。ツールが変わっても残る部分——何を使い捨て、何を蓄積し、何を人間の手に残すか——を扱った読み物を置いています。